自分の居場所を確保するということ
たまに、ひきこもりの人の部屋に押し入って、無理矢理引きずり出すとかいうことが、テレビのニュース特番であるじゃないですか。
事情を知らない人は
「あれでいいんだよ。ひきこもっているヤツとかは、甘えているだけなんだから引き出してガツンとやってやればいいんだ」
とか
「そんなの、家から追い出してしまえばいいじゃない。親がさ、一応アパートとか借りてやって、その後は自分で生活するようにしたらいいんだよ。そうしたらヤツらも食えなくなるから仕事をはじめるようになるさ。甘やかしているんだよ」
なんて、訳知り顔でいう人がいますよね。
でも、実際はそうじゃないんですよ。
これはほとんどの場合、真逆の結果、ときには最悪の事態になってしまうことが多いんです。
真逆の結果、最悪の事態とは何か?
最悪なら親子殺人。そこまではいかなくても、さらなる親子の断絶とか絶望感にさいなまれるとかね。
じゃあ何もしなくていいのかっていうと、そんなことはありません。
ひきこもりの場合は、他者の助けがなくてひきこもりから脱するということが、ほとんどないといわれています。
ではどうすればいいかというと、まずひきこもりの人の居場所を確保してあげること!
ほとんどの場合、居場所は自分の家、自分の部屋であったりします。
そこを追い出そうとするのではなく、「そこは安全である。あなたはそこに居ていいんだよ」ということを伝えることです。
居場所というのは、一種の巣であるわけです。
いつ追い出されるかわからなければ、自分の居場所を確保するために戦うというのが、動物の本能というものでしょう。
同じことですよ。
巣の外に敵がうようよしているようだと、やはり巣から出てこれませんので、親や家族は自分が敵ではないことを表すことが必要でしょうね。
ひきこもっているということは、敵が外にいると感じているともいえますから。
部屋にひきこもっている人なら、リビングで家族と一緒にテレビを観られるようになれば、一歩前進ということになります。
次に家の外に出るということですが、ちょっとした買い物から初めてもいいかもしれません。
買い物というのは、巣から出て行って獲物を獲って巣に戻る行為なんです。
それを家族に分け与えるというのが、野生の姿。
人は1人で生きる生き物ではありませんから、やはり仲間がうれしいと思ってくれると、自分もうれしくなってくるもの。
うれしくなったら、またその次の行動に出やすいですよね。
いきなりガツンとやるのではなく、少しずつ少しずつ、ひきこもり状態から脱っするようにしていくというのがいいと思うのですよ。
自分の居場所、いつ帰っても安心できる巣があるから、逆に安心して外にでることができるのだと思います。
友だちのところに遊びにいって、多少ケンカしても巣に戻って安心して眠れる。
家族によって癒されるみたいな。
子どもに一人立ちしてほしいなら、無理やり追い出すのではなく、うまく巣立ちができるようにしてあげるようにするのが一番の近道です。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)