精神科に行くと薬漬けにされるというのは本当か?


ネットなどでよくこんな言葉を聞きます。

「精神科に行くと薬漬けにされて余計に悪くなってしまうから、行ってはいけない」

これははたして本当のことなのでしょうか?

わたしの知る限り、そしてFHN放送局メンバーの精神科薬剤師のはらけいこ先生に聞いた限りですが、まれにそういったこともあるようです。

どうしてこのようなことになるのかということを、医療関係者に聞いたところ、ひとつのパターンとして、最初の診断のときにある病気であると診立てます。

しかし心の薬というのは個人差があるため、あるい薬が効かないと、別の薬を追加するなどを繰り返していくうちに、薬が増えてくるというパターン。

もうひとつのパターンとして、患者自身が大量の薬を求めるいうものがあります。
そういった患者は、自分の要求する薬を処方してくれないと、他の病院に行き、自分が求める薬をすぐに出してくれる病院を探し出します。

あるいは、患者が数件の病院を回って、大量の薬を求める人もいます。

こうなると、医者が薬漬けにしているのか、自ら望んで薬漬けになっているのかわかなくなってしまいます。

患者もそのことに気がついて、急に薬を止めようとすることがあります。

そうすると、一種の禁断症状が出て病気がより悪くなってしまいます。


また、精神薬に不安を持っている人も多くいて、勇気を出して病院に行ったものの、少し飲んで効果がないのでやめてしまったという人もいます。

ちょっと下の図を見てください。



光文社新書「うつ」かもしれない』磯部潮著より)


この図でもわかるように、抗うつ薬はまず副作用が強くでます。

副作用より効果が出るようになるのは、2週間近くたってからなのです。

それまでは、むしろ副作用が強いというのが現実。

それまでにやめてしまうと「副作用のみ味わって効果なし」ということになってしまいます。注意したいですね。


薬を増やすのが嫌な人は、担当医や薬剤師さんとよく相談しながら減薬に挑戦していただきたいものです。

また、薬は勝手に減らしたり増やしたしないことも大切です。

マスコミは、ときどき薬について誤解を与えかねないことを報道したりすることもあります。
ネットの情報は、マスコミ以上にいい加減であることも多いので注意しましょう。

4〜5年前、インフルエンザの薬で「タミフル」を飲んだ子どもが異常な行動を起こし、ビルから飛び降りてしまうなどのニュースが大々的に流れたことがあります。

しかし、はたしてビルから飛び降りるという行動と「タミフル」の因果関係は証明されず、いまでは(これまでどおり)インフルエンザに普通に投薬されています。

(ここで論理的に考える人ならば、「なぜ過去にビルから飛び降りるなどの異常行動が現れず、その後も現れないのであろうか? メディアが取り上げないだけであろうか? それとも薬と関係ない事件・事故だったのではないだろうか?」と、考えるのでありましょう)

マスコミの報道も、ちょっと注意してみていきたいものですね。

本日の結論。
・薬漬けになりたくないのであれば、お医者さんや薬剤師さんと相談しましよう。
・自分流で、薬を増やしたり減らしたりしないようにしましょう。
・マスコミ、ネットの情報を鵜呑みにしないようにしましょう。


では本日はこのへんで。心の薬については、これからも取り上げていきたく思っています。


FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)