損得で決めろ!
我々が生きている理由というのは、二点に集約することができます。
ひとつ、自分の遺伝子を次世代に残すこと。
あとひとつ、快楽を求めること。
このふたつが、我々が生きている理由です。
快楽求めるというと、短絡的な人はすぐにSEXや、お酒に溺れるような生き方を連想するみたいですが、それは違うのですよ。
溺れてもいいのですが、ほとんどの場合、そういった快楽は、すぐに苦痛に変換される。
人格障害や、依存症の人は、そこらへんのメリハリがよくわからないらしく、安易に溺れ自滅する傾向にあるようです。
やはり短絡的な人は、損得というとすぐにお金のみを考えてしまうのですが、そうじゃない。本当の利益、幸せな生き方は何かということです。
このメリハリを、自覚する方法のひとつに、“損得で考える”というのがあります。
この“損得”という考え方は、すごい威力がありましてね。
文化や感情、愛情さえも左右するくらいの力があるんです。
例えばね、イスラムの人たち、つまり中東の人たちは、豚肉を食べないでしょ。
これは、宗教で禁じられているからなんですが、なぜ禁じられているかというと、中東の気候で、養豚をすると損になるからなんです。
豚を育てるためには、豊かな水や森が必要で、しかも豚の食べ物は、ほとんどの人間の食べ物と競合するんですね。
砂漠や荒野が多い中東では、水は貴重品で、森も少ない。
よって、豚を育てるより羊や山羊を育てた方がお得であるんです。
家畜を育てるというのは、民族の隆盛や生き残りを左右しますから、やがて政治や宗教の力を借りて、民衆を指導するようになる。
ヒンズー教の人は牛を食べませんが、実はこれも損得やコストが関係しています。
ヒンズー教は、インドの宗教ですが、インドの牛は、食べ物が人間と競合しない。
草や木の皮なんかを勝手に食べているわけです。
さらに糞は、いい燃料になり、ミルクは最高の食料になる。
そしてさらにお得なことは、牛は、糞という燃料を出し、ミルクという食料を出すうえ、ガソリンや投資のほとんどいらないトラクターになる。
そんな便利でお得な生き物を食べるなんてもったいない。
牛を神聖視して、死ぬまで飼っておいた方がお得なんですよ。
つまり、民族や宗教の習慣さえ左右するくらいの影響があるのが“損得”ということになります。
ものすごく“げんきん”な話しですね。(笑)
損得というのは、愛情や感情、情緒まで左右するものなんですよ。
例えば、親が子どもに学校に行って欲しいというのは、子どもの利益(幸せ)を考えてのことでしょう。
しかし、無理やり学校や連れていった。
子どもが自殺したでは、本末転倒になってしまいます。
これは、仕事でも一緒で、父親が家族のために、といってがんばって、過労のため死んじゃったというのでは、その努力は無駄になるわけです。
それなら、仕事を休むなり転職して楽な方を選んだ方がお得なわけですよ。
なにが、自分や家族にとって本当にお得なのか、幸せなのかということを、いま一度考えてみるというのも、ひとつの方法だと思いますよ。
『FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)