親の力がものをいう
さて、今回のテーマは「親の力がものをいう」だ。
こう書くと「つまりは親の愛が子どもを救うんだな」と思う人がいるかも知れない。
確かに親の愛が子どもを救うのは事実だけど、今回書こうと思っているのは、そんなことじゃない。
ある意味、親にとっても子にとっても残酷な事実だ。
まず、親はよくこんなことを言う。
「勉強しなさい! じゃないといい大学、いい会社に入れませんよ!」
その親がどんな人かしらないが、ある意味当たっていてある意味外れている。
どういうことか?
簡単にいうと、本当に親が子どものことを想っているならば、親が子ども以上に勉強して、いい企業に入るなり大会社の社長になるのが近道だ。
すると、子どもは少々アホでも大会社に入れるのだ。
親がそれほどの努力もしていないのに、自分程度の遺伝子を受け継いだ我が子に、過剰に努力を強いたり、期待を押し付けるのは親がアホだからである。
だってそうじゃないか、子どもに苦労をさせたくなくなくて、一流大学や一流企業に入れたいなら、年端もいかない子どもに努力を強いるより、あなたが超一流になって、子どもを引き立ててあげればいいだけのこと。
その程度のこともできないくせに、あまり偉そうなことをいうもんじゃない。
あなたも知っているはずだ。
一流大学を出ても、その親やその一族がヤクザや犯罪者、ロクデナシならば一流企業は採用しない。
三流大学でも学歴がなくても、親や一族が超一流ぞろいであれば、企業は本人は三流でも一族を信用して採用する。
公務員だってそうだ。
同じ成績なら信用ができる出身を選ぶ。むしろ現実では親が公務員ならば積極的にとる。
よく世襲は良くないと人はいう。
そういう人も、自分の遺産を子どもに世襲してはいけないといわれれば文句をいう。
親の遺産を受け継いではいけないといわれれば文句をいう。
世襲は良くないというのなら、そのことを否定しなければならない。
しかし本来世襲は悪くないのだ。
親が職人や百姓であったとして、その仕事で食べていくためには、大変な信用と技術や人脈がいる。
ゼロからのスタートでは、その技術や人脈を作るだけで10年や20年はかかるのだが、世襲なら親から受け継げばいいのだから相当有利である。
世襲が嫌なら、実力でのしあがれいい。
問題はそれができないという世の中の仕組みであって、世襲が悪いわけではない。
そもそも、なぜ親が子どもを一流大学にやりたいかというと、信用と人脈が得られるからだ。
一流大学というだけで、まずそれだけの信用は得られる。
卒業生に一流企業や希望企業があればツテを頼って就職に有利になる。
正直いうとぼくが『不登校・ひきこもり・ニート』のことを取材するようになって、何が一番大切かというと、「親の力」なのだ。
親の経済力であったり
親の人脈(コネ)であったり
親の柔軟性であったりするのだ。
『不登校・ひきこもり・ニート』をこじらせてしまっている場合、まずそこでつまづいてしまっていることがとても多いのだよ。
親にそれらがない子どもたちよ。
おまえらは、ないのだから仕方がない。
ないのだから親に求めるな。
親たちよ。
子どもが『不登校・ひきこもり・ニート』になってこじれてしまっているのなら、まずはそれを受け入れよ。
そして子どもに求めるな。
本当に求めなければならないものは子どもの成果ではない。
おまえの安心なのだ。
それはおまえにもわかっているはずだ。
『FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)