多問題家族

『家族』という集団の中で、誰かひとりが、不登校やひきこもり、ニートになったからといって“ただそれだけなら”やっかいなことではありますが、まだ対処しやすいものです。


しかし、“ただそれだけではない”場合が多いのです。


家族のひとり一人が、それぞれに複数の問題を抱えており、それらが複雑に絡み合っているという場合が、少なからずあるのですよ。


例えば、老人介護の問題、親のアルコール依存症、子どもの不登校、家族の不和不信、家庭内暴力、母子の共依存などなどの問題が、ひとつの家族にあるという場合ですね。


不登校・ひきこもり・ニート』の問題を抱える家族では、このような『多問題家族』というのは、めずらしくありません。


家庭内で“負の連鎖”が起こってしまうことがあるんです。


例えば、子どもが「こんな家族はもう嫌だ」と独立をしようとしても、親が子どもに執着して子離れができなかったり

子どもも「わたしがこうなったのは親の育て方が悪いからだ」と、すべてを親に責任を押し付けようとしたり


親が離婚をしようとしても「子どものために」という理由で、夫婦の問題を子どもに押し付けたり……




「アナタのせいだ」と、相手を責めながら、「アナタのためなのだ」と、相手をまた責める。


助け合うと称しながら、足を引っ張り合う家族になっている場合も少なくありません。


悲しいことに、家族の誰か一人がそのことに気付いたとしても、他の家族にうまく伝わらないために、事態はなかなか改善しないことが多いのです。


さらに世間体などを気にするため崩壊状態になるまで、他者にサポートを求めるということがなかったりします。


そうならないためには、早期に気付き、早いうちに何らかの手を打つことです。


そして、小さな常識や世間体という枠を一度はずして考えることも必要でしょう。


そしてもうひとつ。


「家族のため」と考えることは大切ですが、「自分のため」ということも、よく考えてほしいと思います。


「家族のために自分を犠牲にする」


と言うよりも


「家族のためにも自分が楽になる道を考える」


という方が、よりいい方向に向かうことが多いようです。






不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局代表』
巨椋修(おぐらおさむ)