同性愛と不登校・ひきこもり


「同性愛と不登校・ひきこもり」というとピンとこない人もいるかも知れませんね。

ただ、同性愛ゆえに学校でイジめられたり、差別をされたりして学校に行けなくなる子どもや、深く傷つきひきこもりになってしまう人がいるのは事実です。

不登校やひきこもりにならなくても、自分のことを言えなくて、とてもつらい思いをしている人は少なくありません。

同性愛者がどれくらいの割合でいるのかは、統計のとり方などによって大きな違いがあるのですが、イギリスにおける調査では、男性3.6パーセント、女性1.7パーセント。両性愛者を除くと、男性の1パーセント、女性の0.5パーセントという数字が出ています。

1992年のアメリカ国家世論調査センターによる調査では、男性の2.8パーセント、女性の1.4パーセント。

1995年のハーバード大学によるアメリカにおける調査では、男性の6.2パーセント、女性の3.6パーセント。

という数字が出ています。
(参照文献;フリー百科事典『ウィキペディア』 ―同性愛―より)



まあその数字は、“真性”の同性愛者のことと考えられます。

ある研究によれば、仮性、バイセクシャルなどを入れれば、人間の大半は同性愛傾向を持っているという説などもあり、これといった定説もなく実態はほとんどわかっておりません。

また、同性愛を“異常性愛”と解釈している人も多いのですが、少なくとも現在、同性愛は国際医学会やWHO(世界保健機関)、日本精神神経医学会などでは、治療の対象外であり疾病ではないという見解が主流となっています。

同性愛は病気ではありませんので当然、治療の対象から外されており、犯罪でもでない限り、同性愛などの性的指向を、矯正しようとするのは間違いであると言えます。


わたしの知人にも同性愛者がおりますが、彼ら自身の多くが

「なぜ同性愛者になったのかわからない」

「気が付いたら、異性にではなく同性を性的対象にしていた」

というものでした。

彼らに非はまったくなく、また同性愛であるからと、他人に迷惑をかけているわけでもないのですから、それを非難するのは間違いです。

ただ、そうはいっても差別や異常者扱いを受けてしまうことは多く、そのために彼らの多くは、理不尽な攻撃を受けたり、深く傷つくことが多いのです。

ここでちょっと恐いデータを出しましょう。

1989年のアメリカ保健社会福祉省調査によれば思春期の自殺者のうち約30%が同性愛者を含めたセクシャルマイノリティ(性的少数派)であったというのです。

アメリカでは、5時間に一人の割合で思春期の同性愛者が自殺しているという話しもあります。

また、ロンドン大学の調査ではイギリスの同性愛者・両性愛者の3人に2人がうつ病や他の精神疾患を抱えやすいという結果が出ています。

日本でも、同性愛者の約6割が自殺を考えたことがあるという研究結果があります。これらは、いかに彼らが日常でつらい立場にあるか、同性愛者であるというだけで、迫害を受けているかという表れと言えるでしょう。

不登校やひきこもりになる人の中にも、同性愛者であるがゆえに悩み、苦しんだり、イジめられたりすることが多く、そのため学校や社会に出ることに不安を感じる人も多くいます。

わたし自身も、ときどきそういった人からの話しを聞くことがあります

その中には、親にも言えずに悩んでいたり、やっと親に話したところ、大変に嘆かれたり、攻撃されたりし、苦しんでいる人もいます。

その苦しみから逃れるために、アルコールを多飲してアルコール依存症になる人もいます。

自傷行為をくり返す人、実際に自殺する人もいます。

彼らに何の罪などないのに……


同性愛であろうが、異性愛であろうが、人が人を好きになるということは悪いことではありません。

自分と違うからとそれを卑下したり差別することは良いことではありません。



不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局代表』
巨椋修(おぐらおさむ)