性と福祉
さて『性』をテーマに書こうとしていたら、東北関東大震災。
被災者の方におかれましては、心よりお見舞い、お亡くなりになられた方にはお悔やみ申し上げます。
『性』についてのお話しはしばらくお休みしておりましたが、前々回からの続きです。
『不登校・ひきこもり・ニート』の関係者には、福祉に関心が強い人も多いので、ちょっとしたタブーにふれましょう。
さて、ここで質問です。
「あなたは、ソープランド、ファッションヘルスのような性風俗、もしくは売春を“悪いこと”だと思いますか?」
おそらくほとんどの方が「悪いことである」とお答えになると思います。
で、以前テレビのワイドショーで、不思議な光景を観たのですよ。
ある“福祉ボランティアの人”が、ある男性障害者を性風俗に連れていって、性サービスを受けさせてあげるという場面です。
普段は、性風俗を「悪いこと」として、取り上げている番組が、その“福祉ボランティア”を、大変な“善意の人”として紹介していたのです。
性サービスをする風俗嬢も、大変な“善意の人”として、音声と顔は映さずにとらえられておりました。
さて、この話しをあるフェミニストの女性にすると、普段は
「性風俗や売春は、絶対にダメ! 働いている女性も働かせている男性も、女性を利用しているだけで、絶対反対!!」
と、強烈に主張していたはずなのに
ああ、はずなのにはずなのに
「それはいいことです」状態。(笑)
「じゃあ」とわたしは聞きましたさ。
「女性障害者にも同様に、男性が性サービスをするべきですね。ぼくの知っている障害者のボランティアをやっている人も、そういった女性に“奉仕”をしたことがあるそうですが、それは“善意”なわけですね」
と申しますと、それはいけないことらしい。(笑)
では、次の質問です。
もしある男性が、両手両足を骨折する怪我で入院をしたとします。
女性看護士さんは、オナニーもできない哀れな患者が望めば、お手てやお口で性サービスをしてあげるべきでしょうか?
もちろん、女性患者には男性看護士が……です。
あるいは、性行為そのものをしてあげるべきでしょうか?
場合によったら、男同士女同士かも知れませんが……
それは医療や福祉、介護の一環として認められるのでしょうか?
おそらく圧倒的多数の答えは「NO」でありましょう。
もちろん中には「そうするのが正しい」とおっしゃる方もいるでしょうが……
つまりね。
『性』というのは、非常にデリケートにして、プライベートなものなんです。
『性』に関する話しをするだけで、人は耳をそばだて、あるいは身の毛をよだたせるような行為であったりもします。
場合によっては、平常心でいられないこともある。
ある身障者の母親の話し。
息子がオナニーも出来ない。
それが可哀想だから、母親がしてあげるなんて話しもあったりします。
父親がしてあげるなんていう話しを聞いたこともあります。
これはタブーなんですよ。
福祉や介護において、性に関することはタブー、つまり触れてはいけないことなんです。
でもね。
福祉や介護の現場の人は、その現実に直面することもあるんです。
むしろ現場の人は、そういった一面を見ていると思いますよ。
いいか悪いかなんて、わたしだってノーコメントです。
ただ、そういったことがあるという事実。
福祉や介護をやっている人、志す人、そういう人を養成する人は、そういった『性』についても考える必要があります。
福祉とか介護、教育とかと、関係ない人も、考えたいところですね。
人間という生き物と『性』は、そんな心の奥底の、ある意味ドロドロした一面も持っているものなんです。