ワーキングプア死亡宣告が電子書籍化
08年に出版した『ワーキングプア死亡宣告』という香ばしい名前の本を出したのですが、本に収録されていなかった、共著者の山口敏太郎さん、犬山秋彦さんとの対談版が電子書籍で読めるようになりました。
http://www.papy.co.jp/act/books/1-60633/
210円だそうです。
著者は、山口敏太郎、犬山秋彦、そしてわたし巨椋修(おぐらおさむ)の共著です。
内容は、
「ワーキングプアは、このままでは早死にする」
という至極、当たり前の話を書いている。
ちょっと目次をみてみよう。
『ワーキングプア死亡宣告』
年収200万円格差時代・正社員だってワーキングプア・労働人口1/3がワーキングプア!!
働いても生きられない
『働いたら負け』という言葉が正論になる時代、新自由主義経済により一億総中流時代は崩壊し日本の1100万世帯がワーキングプア状態に陥った
『格差』という名の階級社会が定着した世の中で「自分探し」を続ける若者は貧困のスパイラルに嵌り込むはたしてワーキングプアは自己責任なのか?それとも社会制度の不備なのか?
このままワーキングプアを救済しなければ日本は滅びる!
■ 目次
【第一部】ワーキングプア死亡宣告 文:巨椋修
【第一章】ワーキングプアは死亡する!
◆マスコミの嘘にだまされてはいけない
◆ワーキングプアとは何か?
◆日本経済を支えているのはワーキングプアである
◆ワーキングプアにも上流と下流がある
◆ワーキングプアの裏側
◆恐怖!負のスパイラル!
◆日本は【茹で蛙】になりつつある
◆ワーキングプアは病院に行くなというのか
◆自殺の原因は「健康問題」と「経済問題」「家庭問題」
【第二章】一億総中流と格差社会
◆厳しくなかった日本の身分制度
◆日本は日本流社会主義風土の国であった
◆一億総中流時代の崩壊
◆階級社会と競争社会
◆階級社会はなくなったか
◆学歴という階級
◆正社員と非正規雇用という新しい階級差別
◆昔、ワーキングプア問題面倒を見てきたのはヤクザであった
◆貧困層ビジネスとは
【第三章】ワーキングプアと人間関係
◆ワーキングプアは孤独を呼ぶ
◆ワーキングプアと家庭の問題
◆女性のワーキングプア
◆シングルマザーの悲劇
◆一人暮らしの高齢者女性に生活保護受給者が多いという現実
◆本当に怖い高齢者ワーキングプア
◆凶悪化する高齢者
◆高齢者ワーキングプア最後の福祉現場は刑務所か?
【第四章】ワーキングプアと心の問題
◆ワーキングプアと『不登校・ひきこもり・ニート』
◆ワーキングプアと心の病
◆心の病のおそろしさ
◆日本人と対人恐怖症
◆ワーキングプアと依存症
◆「心の時代」を生き抜く
◆意欲や気力が続かない
◆ワーキングプアは努力不足だという人へ
◆ワーキングプアを救済しないと日本は滅ぶ!
◆最後に、ワーキングプアからの抜け出し方
【第二部】ロスジェネ世代の青春サヴァイバル 文:犬山秋彦
【第五章】高卒フリーターという生き方
◆バブルを知らない子供たち
◆ボロ雑巾のようなフリーター稼業
◆血みどろの給料削減地獄
◆「働く方がバカらしい」ニートの正論
【第六章】そして日本はブラック企業に覆いつくされた
◆希望は刑務所
◆セーフティネットとしての自衛隊
◆貧乏人を戦場に向かわせるもの
◆家出志願者の孤独
◆しあわせな貧乏体験
◆親を抱えて生きるリスク
◆死んでください、おっかさん
【第七章】ワーキングプア大暗黒時代
◆大暗黒時代の幕開け
◆宇宙飛行士の見た地球
◆ハイエナ投資家の飽食
◆犯罪列島ニッポン
◆庶民殺しの景気回復
◆間違いだらけの少子化対策
◆新自由主義という名の魔王
◆ワーキングプア脱獄宣言
【第三部】ワーキングプアの若者よ、平成志士であれ! 文:山口敏太郎
【第八章】ワーキングプアを生み出した支配者層の本音
◆新富裕層と新身分制度
◆心のワーキングプアは日本人全体を蝕む
◆本来、政府は助けてくれないもの
◆貧乏を楽しめた時代・オールウエイズ
◆当てにできないが、政府と企業にやってもらいたい事
◆馬鹿化する大企業〜馬鹿の連鎖
【第九章】失われた大いなる和の魂・大和魂はいかにして零落したのか
◆維新後、日本人が心に賭したもの、洋才和魂と士魂商才
◆大和魂と「和をもって尊しとなし」
◆生きるか死ぬか、「皆殺しの論理」が人心を荒廃させた
◆2ちゃんねらーはワーキングプアなのか
◆アメリカから感染したワーキングプア
【第十章】時代・文化・風俗に現れるワーキングプア
◆江戸っ子は常にワーキングプアであった
◆特別な自分探しがワーキングプアの入り口になる
◆アニメに見えるワーキングプア、少年たちの通過儀礼
◆社会の革命か、己の中の革命か
◆君は生き残る事ができるか
というやはり香ばしい内容になっている。
出版社は『マンガ 嫌韓流』を出版し、マスメディア等の話題となった晋遊舎(しんゆうしゃ)である。
そして、ブラックな内容の新書ということで『晋遊舎ブラック新書』という新書本である。
実はこの本。
他の出版社で出す予定であったのだが、
「ワーキングプアという【かわいそうな人たち】が死亡するなんて本は……」
と、一度了承されておきながら、お蔵入りになりかかった本なのであったのであった。
三人の著者は、それぞれに立場も考え方も違う。
山口敏太郎は、苦学をして大学を卒業し、一流企業に入社後、退社、流行作家になったという立場から。
犬山秋彦は、両親が離婚、自身もいったん両親と縁を切ったが、アパートの保証人もなく、ワーキングプアになり、そして「希望は刑務所」というところまで追い詰められた経験を持つ人間として。
(この本の題名は彼の発案である)
巨椋修(おぐらおさむ)は、『不登校・ひきこもり・ニート』の映画や本を書き、多くのワーキングプアを身近に見てきたという立場から書いている。
(本の紹介文に「支援活動に従事し」とあるが、わたしは支援者ではないので、そこは間違いである)
それぞれ、立場、考え方が違うのであるが、共通点もある。
政府にも、大企業にもまったく期待などしていないということろだ。
「みんなの力を合わせて世の中を変えていこう」なんてことも思っていない。
世の中を変えようなんていっても、いつ変わるかわからないし、だいたいそんなことを言っているヤツらなど、まったく信用できない。
それよりも、自分個人を変えた方が早い。
そう思っている。
ぜひ、お手にとってお読みいただきたい。
現実を知り、自分を変えることができるのは、あたなだけだからだ。