プラス思考とマイナス思考2 プラス思考のススメ


不登校・ひきこもり・ニート』の人を見ていると、やっぱりマイナス思考の人が多いんですよ。


当人だけじゃなくて、その親とかもマイナス思考の人が多かったりします。


そういう人を前にすると、プラス思考の支援者とかは拒否されたりする。


なぜか?


プラス思考もマイナス思考も、 “体と脳の癖” なんですよ。


マイナス思考が癖になっている人に、強引に


「プラス思考になりましょう!」


なんて言っても、いきなりはできませんよ。




また、こういった問題の支援者の中には、もともと『不登校・ひきこもり・ニート』などで傷ついた経験があり、その人も問題を抱えていながら、他の人を支援しようとする場合が多いんです。



そんな人の多くが、プラス思考の本などを読んで、 “自分自身を強引にプラス思考にして” 他の人を励まそうとする。



でもそういう場合、自分自身が本物ではありませんから、他に人に説いてもなんか空々しくなっちゃう。

また、そうじゃなくても


「大丈夫だよ! あなたはきっとうまく行く!」


なんて励ますつもりで誰かが言ったとしても、心にマイナス思考が心に住み込んでいる人には、


「何いってんだコイツ、わたしの事なんか全然知らないくせに……」


って思うもんです。


それに一生懸命、励ましている人だってどこかで自分に自信がなかったりする場合もありますしね。



そんな人は他人を励ますことで、自分に納得させようとしたりします。



また、悪い事があったら「これは運命なのだ」とか、イスラム教の「インシャ・アッラー(神様がそう望んでおられるのだ)」なんていうのがそうです。

幸運も不運も、運命や神様の思し召しということで納得しようとするなんてことがあります。これも一種のプラス思考なんです。

こういった言葉には、それなりの効果があります。


現代版でいうと、プラス思考の考え方として、黄金法則で有名なアメリカのジョセフ・マーフィー牧師とかの『願望達成』の自己啓発とか、毎年、高額所得番付に出てくる斎藤一人社長なんていうのが、プラス思考の有名人や教祖的な人でしょうね。


代表される考え方は、


「いいことが起こると信じれば、必ずそれは自己実現できる」


というものです。


で……


実際はできない人も多いんじゃないかなあ。


たいていの人は「いい事が起きると考えれば、いい事が起きる」って、漠然と考えています。

「悪いことを考えれば、それが実現してしまう」とか漠然と思っている。

これは日本人の「縁起でもないことをいうと、それが当たってしまう」という“言霊(ことだま)信仰”の影響もあると思われます。


しかし、『不登校・ひきこもり・ニート』の多くの人は、“いい事”を具体的にイメージできないでいるんです。


元々マイナス思考が癖になっている人にとって、「いい事が起きる……」って信じようとしても、心のどこかで、「それは嘘だ……」って思ってしまうものです。


例えて言えば、何かをやっていて失敗した経験のある人が、また同じようなシチュエーションになったとき、

「また同じ失敗をするかも知れない。失敗しないようにしよう!」


って思えば思うほど、ドキドキして同じ失敗を繰り返してしまうって事と同じです。



つまり自分が幸せになることが、信じられない。


それは当たり前かも知れませんね。


なぜなら、そういった事に成功体験が少ないから。


一度、食中毒を起した食べ物を嫌いになるのと一緒。


そういった人が強引に、「いい事が起きる!」って思い込もうとしても難しいんですよ。


もっと現実的の事を言えば


いい事が起きると信じたからっていい事が起きるわけじゃないんです。



起きる事象は同じだったりもします。



それをラッキーって思えるかどうかなんです。



同じ事に対して、プラス思考の人はいい事だと思って、マイナス思考の人は、悪い事だと思うだけの事なんです。


プラス思考の人は、「いい事があった」と喜び、マイナス思考の人は「やっぱりダメだ」と落ち込んで悩む。


自分の心理もそれで、ハッピー気分になったり、ブルーになったりする。


周りの人だって、幸せそうな人を人を見ると楽しくなってくるけど、苦しそうな人からは、離れていく。



その結果は絶大な差になって出ますね。


もし、あなたがプラス思考ができないでいるのなら、それはそれでいいんです。


マーフィーの成功法則のように強引に、いい事が起きると信じれば、いい事が起こって、悪い事を考えれば悪い事が起きるなんていうもんじゃないです。


現実では


地震が起きると思ったら地震が起きる」、なんていう事はない。


地震が起きないと思ったら地震は起きない」、なんていうこともない。


地震は、そのときくれば起こるべくして起こる」のであって、個人の意思とは関係ない。


しかもいつ起こるかわからない。


だったらいつ地震が起きてもいいように用心しておけばよろしい。


「縁起でもない」


なんて思っちゃダメ。


縁起でもない事も一応考えておく。


借金苦などで自殺する人が多いけど、そういった人のほとんどは、「縁起でもない事は考えないでおこう」って思った人であるかも知れない。


最悪の事態も考えて、それに対処していけば、借金をずるずると引きずることもないはずなんです。


「縁起でもない事は考えないようにしよう。きっとなんとかなる」


って思っているから、自分を追い詰める事になる。


最高の自分を想像するものいいけど、最低最悪の自分も想定して、そうならないように用心しておく。


そうなってもいいように心構えをしておくっていうのが、自分にとって不安を減らし一歩前に出るひとつの方法ですね。


本当のプラス思考っていうのは、最低最悪の場合でも準備、用心、覚悟がある事だと思います。


もっとしたたかに。

もっとしなやかに生きてほしいですね。


そういった意味で、『プラス思考のススメ』です。



FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ)