無理なプラス思考は危険である!


前回書いた『プラス思考のススメ』の続きです。


前回、「強引なプラス思考は、たいていダメになる」とみたいなことを書きました。



そもそも、強引なプラス思考というのは、一種の“信仰”だと思っていいでしょう。

それで自信や積極的になれるのなら、“信仰”でもいいんですけど、ほとんどの人はうまく行かないものです。



自信というのは、「自分自身の成功体験、もしくは他の人の成功体験から学んだもの」

というもので、 言い換えてみれば、自信とは過去の経験からの、計算、予測といったものです。



よって、根拠のないプラス思考というのは、逆に自滅的・危険でさえあります。


飛んでいる飛行機から飛び降りることがあったとして、パラシュートも付けずに


「これで死なないというのはマイナス思考だからダメ! 絶対大丈夫っていうプラス思考と自信があれば、必ず助かる!」


って飛び降りる人は、たいてい死にます。


「自信があれば大丈夫だよ! さあ、勇気を出して飛んでごらん!」


って、他人を巻き込む人は犯罪的でありましょうな。(苦笑)

普通、そういうときは、ちゃんとパラシュートを使う。

できればその前に、パラシュート降下の練習をしておく。

それで飛び降りれば、死ぬ確立は格段に減ります。

訓練をして、なんどもうまく行き、安全であるという自信がつけば、飛び降りるのが楽しくなるくらいです。



プラス思考もしかり。

強引なプラス思考、無理なポジティブシンキングは、とても危険で自滅的でさえあります。


プラス思考を求める人というのは、どこかで不安とかを抱えている人が多いと思うんですよ。

また支援しようとする人も安易にこう言います。


「自信をもて! やればできる!」


こんな無責任な言葉はない!


やってできなかったらどうするの? 


またそう言われる人って、これまでやってできなかったから、自信がないんでしょ。

初めての挑戦って人かもしれない。


自信をもてって言う前に、自信がつくように練習をしてあげないといけない。


練習を積んで、何度も経験がある人だって失敗することがあるのが人生です。

そういうときのために、“もしも・まさか”のために準備もしておかないといけない。


特に、『不登校・ひきこもり・ニート』の人っていうのは、心に傷を負っている場合が少なくない。

それも本人が自覚のない傷であったりもする。

映画『不登校の真実』に出演してくださった精神科医の明橋先生は、こういった【無理な励まし】を映画の中で


「足を折った人に走れ走れと言っているのと同じ」


とおっしゃっていましたけど、その通りだと思います。


骨折をしている人に必要なのは治療と休養で、「プラス思考になると走れる」とか、「自信をもてば走れる」というものじゃない。


うつ病神経症の人にも、同じ事が言えますね。

そういった人に強引に


「自信をもて! 前向きになれ! やればできる! プラス思考だ! がんばれ! がんばれば何とかなる」


って言っても、それは無理。

そういった病気の人も、なんとか前向きになろうとしますがそう思ってもなかなかできない。

できないと、ますます自信がなくなり滅入ってくる。


病気の人なら、必要なのは治療と休養。


自信がない人なら、必要なのはそのために必要な、練習や心のリハビリです。



FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ)