礼儀とマナーは大切です。その3
「人間はすこしくらい品行は悪くてもよいが、品性は良くなければいけないよ」
―小津安二郎 ・映画監督(1903-1963)―
人によって、同じことを言ったり、やったりしても、好かれる人と嫌われる人がいます。
例えば、シモネタを話した場合、女性からセクハラといわれて嫌われる人と、まったく同じ話しにもかかわらず、「エッチねえ」と許されたり、それどころか好意をもたれる人がいたりします。
理不尽といえば、なんとも理不尽。
ですが、嫌われる人と好かれる人をじっくりと観察してみると、確かにその差はありますね。
嫌われる人には、それなりの要素があり
好かれる人には、それなりの要素がある。
その要素のひとつが“品(ひん)”というものでしょう。
例えば、方言丸出しやベランメエ調の喋り方をしている人でも、品のある人は、好もしく映るものです。
いかに教養があり、知識が豊富な人でも、品のない人は嫌われますね。
この差はあまりにも大きい。
特に、嫌われる人は、自分がなぜ嫌われているのかわからないという場合も多い。
品は、どうしたら身につくかというと、一番はなんといっても、親からのしつけです。
しつけは漢字で書くと躾となる。
つまり立ち振る舞いの美しさということです。
これはまず、親がお手本となるのが一番。
いまの小学校や中学校で、所作動作を教えるのは難しいでしょう。
子どもを茶道教室やマナー教室に通わせても、家庭で親がダメダメなら、身に付きにくい。
所作動作というのは、普段の生活の延長だからです。
躾のポイントは、前回述べた礼儀作法を教えるポイントと同じです。
家庭では食事のときが一番やりやすい。
1,食事中、優しさと思いやりと、こころくばりを忘れない。
2,間違ったやり方をしている人をあざ笑ったり、激しく叱責しない。
3,美味しそうに食べる。楽しい話しをしながら食べる。
4,美しく食べるように心がける
よく、食事中、躾と称して、
「ボロボロこぼすな!」
と、大声で怒鳴ったり
「箸の持ち方が悪い!」
などと、子どもの手を叩いたり、ひどい場合は、自分の箸で子どもの手を刺したりする親がいますが、この行為自体が、マナー違反です。
子どもにとっても、楽しいはずの食事が、恐怖の時間になってしまいます。
マナーや礼儀作法は、普段の生活の延長ですから、こういった親子はレストランにいっても、同じように大声で怒鳴って躾ようとしたりします。
周囲にとって迷惑なこと、はなはだしい。
こういった普段の生活や心がけが、品というオーラになっていきます。
親が教えてくれなかった人は、自分の努力で身につければよろしい。
品、品性というのは、ふとしたことで表れますね。
人と話すとき、
「ちゃんと目を見て話しなさい」
といいますが、ずっと相手の目を見つめ続けるのは、失礼というものです。
かといって、全然見ないというのも失礼です。
お手本になる人がいれば、一番いいんですけど、ここらへんのところは、いろいろな人と実際にあって、身につけるしかありませんね。
言葉で、「5秒みつめて、2秒目をそらす」なんていうのはナンセンス。
これは目だけでなく、指先の動きまで含めて、自然と相手への優しさやこころくばりができるようになれば、それでよろしい。
そういったことが、自然にできるようになれば、品性は良くなり、品行が少々悪くても、許されてしまいます。
FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ)