ろくでなし社会学① いじめと自殺について

※これは2012年に「まぐまぐ」さんに書いたものを再掲載したものです。


●いじめ自殺被害者は何人ぐらいいるか?
 2012年の夏、大津のいじめ自殺事件が発覚。連日のようにニュースで取り上げられ、大変な大騒ぎでした。

ところでみなさんは小・中・高校生の自殺が、年間何件くらい認知されているかご存知でしょうか?

・平成20年 136人
・平成21年 165人
・平成22年 147人
(参照:平成22年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について 72ページ
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf

となっています。
過去多かったのは昭和54年で380人です。
昭和は良かったなんていってるのは誰なんでしょうね?



●いじめ問題の数字は信用できない
平成22年における、自殺した児童生徒が置かれていた状況が「いじめの問題」が4人で構成比は2.7%でもっとも少なく「不明」がもっとも多く83人で構成比は56.5%ということになっています。

ただ、これらの数字は、あまり信用できないのですよ。

なぜか?

この数字は文科省の発表ですが、平成22年の文科省発表で自殺した全国の小中高生は147人。

一方、警察庁の調査では552人(19歳以下)。
(参照;警察庁生活安全局生活安全企画課『平成22年中における自殺の概要資料』より
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H22jisatsunogaiyou.pdf#search


と、文科省警察庁では3倍以上の開きがあるのです。

いくら児童生徒と未成年という調べ方の違いがあるとしても、これはあまりにも差がありすぎます。


●自殺原因「不明」にいじめ自殺が隠されている可能性
なぜこのような開きが生まれるかというと、文科省の調査は、学校や教育委員会が、死因を「自殺」と報告しないことがあるのです。

自殺と報告しない理由は、「遺族への配慮」や「遺族の希望」などがあるそうなのです。

「遺族への配慮」や「遺族の希望」という理由は、心情的にわからないでもありませんが、一方の警察は「自殺」とカウントしているのですから、何だかおかしな感じがします。

もしかしたら、児童・生徒が自殺をした場合、先生や学校、各地の教育委員会の評価が下がるため、「遺族への配慮」を理由になるべく自殺を隠す傾向があるのかも知れません。

ぼくも、教育関係者から、ある生徒が自殺したとき、明らかに自殺であるにも関わらず遺族の希望と配慮から「心不全」という病死になったという例を聞いたことがあります。


また、自殺の原因ですが、文科省の発表によると以下の様になっています。


・不明     56.5%
精神障害   12.9%
・家庭不和   11.6%
・父母等の叱責 8.2%
・いじめ問題  2.7%
(参照:平成22年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について 73ページ
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf


と、なっていますが、自殺原因でもっとも多い「不明 56.5%」の中に、本当はいじめが原因となるものが、おそらくもっと多く含まれている可能性は大といえるでしょう。


●学校の隠蔽体質に問題あり!
 いじめ問題で必ずといって出てくるのが学校の「隠蔽(いんぺい)体質」です。
 しかし、いじめ問題を隠蔽したからといって、いじめが無くなるわけではありません。むしろ隠蔽はいじめを助長させるだけのものだと、ぼくは確信しています。

 ちょうとこれを書いている2012年10月29日の報道で、大津いじめ自殺事件を調べている第三者委員会が、市の教育委員会から取り寄せた書類に、教育委員会や学校サイドにとって都合の悪いところ多数に「黒塗り」があり、「真相究明を妨げようとする隠蔽行為だ」という批判の声が上がっているそうです。

 ぼく自身もかつていじめ自殺事件を取材していて、自殺で亡くなったお子さんのご両親から、学校から取り寄せた関係書類を見せてもらったことがあります。

 その書類の多くがマジックで「黒塗り」されていて、内容はほとんど読めない状態でした。

 学校の情報公開によって請求した職員会議の内容だったにもかかわらず、発言者の名前はすべて黒塗りで塗りつぶされ、誰が発言したのかはもちろん、場合によっては発言内容まで塗りつぶされていました。

 こんなことをしていては、決して真相究明や再発防止の取り組みなどできないことでしょう。

学校や文部科学省は、子どもに「いじめをするな!」というだけではなく、自分たちの隠蔽体質をなくす勇気を持ってほしいものです。

学校の隠蔽体質を改善することは、必ず今後のいじめ予防につながるはずです。

 いい学校、いい先生もたくさんいるのですから、ぜひお願いしたいですね。


● まとめ

・ いじめ自殺者数は信用できません。
教育委員会や学校の隠蔽体質改善が必要です。





FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝




FHN放送局で、何か取り上げるテーマや、ご意見・ご質問などを募集しております。
もし何かあれば osaogu@yahoo.co.jp もしくはコメント欄に書き込んでいただければと思います。

巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

陽明門護身拳法のHPはコチラ。門下生募集中!
http://members3.jcom.home.ne.jp/yohmeimon/


門下生募集中!お問い合わせは osaogu@yahoo.co.jp まで。

FHN放送局から派生した『脱力系TV! いきぞこないなう!』は毎月第二水曜日 21:00〜21:45 ニコニコ生放送で放送配信ちう〜!
 ご覧になりたい方は、放送配信時間にMACH−YVの『いきぞこないなう!』右横にある「いきぞこないなう!」の文字か「タイムシフト視聴」をクリックしてくださいませ!

また希望者は、人数に限りがありますが、入場料1000円で、スタジオ観覧できます。
お問い合わせは osaogu@yahoo.co.jp までお願いいたします。