性善説と性悪説
人間の本性について、『性善説』と『性悪説』というものがありますよね。
性善説というのは、「人間の性は、元々善いものである」という考え方で、孟子とか仏教がこの考え方。
一方、性悪説とは、「人間の性は、元々悪である」という考えで、洵氏とか、キリスト教の考え方なんです。
わたしが好きな思想に、『陽明学』というのがあるんですけど、陽明学によると
「人間の性は、元々善でも悪でもない。人間の目が、和やかなるときもあれば、険しいときもあるがごとくである」
とあるんですね。
わたしも、人間の性というのは、善でも悪でもないと思っています。
つまり両面を持っている。いやいやもっと多面的なものであると思っています。
だから決めつけられない。
性悪説によると、「人間の性は、元々悪であるから、法律や教育によって矯正していかなければならない」と主張します。
人間の善というのは、こういった矯正によって生まれるものという考え方ですね。
わたしは、この「法律や教育によって矯正していかなければならない」という考え方に賛成しています。
ただし、『善』とか、『正義』などというものは、自分にとって『都合のいい』ものに偏ってしまう可能性が大きく、一方的な『善』、『正義』は、他方から見ると、『悪』以外の何物でもないことも多くあります。
現実的に考えれば、仕事や経済活動をする場合、最初から『性悪説』にのっとって仕事をしたり、契約をしたりする方がお互いのためにも、絶対にいいといえるでしょう。
人間にとっての善は、『自分にとって都合のいい善』ですから、双方が徹底的に話し合って納得できる契約、約束を交わしておいた方がいい。
そうすることで、『両者にとって都合のいい善』を確認しあうことができます。
「オレたちは、信用しあっている」
というのはいいんですけど、そういう場合の信用って、はなはだ不安定なんですよ。
相手への一方的な『もたれ』や『甘え』になって、かえって迷惑をかけてしまうことになりかねません。
口約束も契約ですから、口約束の場合、時々確認しあう方がいいんです。それが、お互いの信用のためになります。
できたらお互いにメモ書きして時々確認するくらいした方がいいんです。
こう書くと、わたしは性悪説論者と思われそうですね。（笑）
繰り返しになりますが、わたしはは性善説者でも、性悪説者でもありません。
でも、どうしても二者択一せよといわれれば、「人間の性、善なり」というでしょうね。
人間社会の最小単位は、異性関係、もしくは家族、親子関係ということになります。
原始時代から人間が発展してきたのは、最小単位の家族が契約によらずとも、信用して協力しあってきたからといえるでしょう。
人間のプラスの感情として、優しさとか誠実さ、愛情があるとしたら……
マイナスの感情として、怒りや憎悪、恐怖であるとしたら……
プラスの感情が勝っているから、人類は家族が家族でいれたわけです。
ひとつの事実を述べましょう。
殺人事件が起こった場合、友達や知り合い、夫や妻が犯人である場合がもっとも多く、過半数以上を占めています。
つまり殺人被害者の大半が、知人や家族に殺されているというのが現実です。
でも、友達や家族による殺人が多いからといって、友達を減らした方がいいという人が増えたり、家族不要論が、増えたりしたことはないでしょ。
これは、友達や家族を持つことに対して、マイナスよりもプラスが多いという証明でもあると思うのですよ。
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