学歴社会について

たまに不登校支援者の中に、「学歴社会は終わった。良かった良かった」みたいな意見を言う人を見ます。





あほか!!






と、言いたくなりますね。(笑)


確かに、現代のように、ほとんどの若者がその気になれば大学に行ける時代だと、かつてのような大卒であることに価値がなくなりつつあります。


これが何を意味しているかというと、




学歴ではなく、実力社会のはじまりである!





と、いうことなんです。

だから不登校関係者は、「良かった良かった」なんて言っている場合ではないということになる。


実をいうと、日本はさほどひどい学歴社会ではなかったんです。

庶民に生まれた子どもでも、上に行くチャンスはたくさんあった。いまでもある。

官僚になりたければ、国家公務員試験試験を受験するというチャンスが、ほとんどの人に与えられているわけです。

わたしはこの前、偶然東大出身の友人と十数年ぶりに再会したんですよ。

わたしと遊んでいる頃は、サラリーマンだったのですが、いまは弁理士の資格をとって独立をしていたんです。

別に弁理士の資格は、東大卒が有利になるわけでもなく、中卒でも受験することができるわけですから、学歴が大事ということはないんですね。

さらにいうと、06年の日米中韓の高校生意識調査では、「希望の大学に入学する」は日本は29%、中国は76%、韓国は78%と高く、米国も54%と、日本は格段に低いんです。

これは、高校生が、「希望の大学に入学しても、先はたかが知れている」という意識を表しているということでもあります。


この調査で高校生に「非常に関心があること」を19の選択肢から複数選んでもらうと、日本で最も多かったのは「漫画、雑誌、ドラマなどの大衆文化」で62%。

中国と韓国のトップは「将来の進路」で、中国64%、韓国66%。

これも、高校生が、「将来なんて、たかが知れている」という希望のない社会であることと思われます。



努力しても仕方ない。


実力を養っても仕方ない。


日本はそんな社会を作ってきたんです。



それは良いところもありましたし、悪いところもありました。


最近になって、これじゃあいけないと、実力社会を作ろうとしています。

しかし、こんどは、「それだと格差社会になってしまう」と、反対意見がでています。




1億総中流社会がいいのか?

実力社会がいいのか?




どっちがいいのかは、よくわかりません。

しかし、いま、学歴や実力以前に、親の経済力や人脈などが、子どもの人生に大きく影響する時代でもあります。

いわゆる「貧困の世襲」や「正規雇用・非正規雇用」という身分制度が、つくられてきているように思えます。


実力のある人、努力した人が上がっていくのは、悪いことじゃない。

しかし、もう一方の、実力のない人、努力できない人にも、いろいろな生きる道がある世の中になってほしいものですね。




FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)