不登校の現実4 高校中退・転校・卒業

不登校でもいいじゃないか」と、いう不登校支援者はたくさんいます。

その真意は、大きく分けて5つ。


1、「不登校でもいいじゃないか」ということで、子どもも親も安心感が生まれ、もっとも“再登校“学校復帰”に効果があるから。

2、学校でいじめられたり、つらい思いをしたりするくらいであるなら、学校に行かないほうがマシであるという考えから。

3、小学校・中学校不登校の場合、校長の配慮で、ほとんどの場合、中学校に進学、中学校卒業ができるから

4、学校を否定している支援団体の場合、「すべて学校や教師、文科省が良くないので学校に行かないほうがその子のためになる」というイデオロギーをもっている場合。

5、不登校支援業者の場合、再登校や公学校の適応指導教室登校、学校復帰が、そのまま売り上げ減少につながるから。


ということがあげられます。


しかし、小・中学不登校はほとんど「留年」「落第」「退学」が、ありませんが、高校となるとそうは行きません。


まず、高校には受験があります。

学校にあまり行っていない不登校生徒には、やはり学力に問題があることも多く(そもそも不登校の原因の2番目に「授業についていけない」「学力不振」という問題があるくらいです)、また、あまり学校に行っていないわけですから、中学の先生も内申書にあまり書くことがありません。

希望校に入学できるかどうかが、まず中学不登校生徒や親御さんの不安となります。

また、不登校生徒を受け入れている高校の多くは私立校で、私立校は、公立校に比べてどうしても学費が高くなってしまうという現実もあります。

いま、経済的問題で高校を中退せざるを得ない生徒たちが、たくさんいるのですが、私立校に関して言えば中退している人の、10人に1人が「経済的理由」による中退というのが現実です。

そして、自治体によっても多少の違いがあるようですが、全日制私立校から全日制公立校への転入学(転校)は、その理由が引越し以外ではかなり難しいというのが現状のようです。

ただ、公立でも定時制高校への転入学はやりやすいと聞きます。もし関心がある人は、学校の先生など、専門家にお尋ねください。

中学不登校を経験している生徒の場合、かなり高い確率で、高校でも不登校になってしまい、「留年」や「退学」になるといいます。

休学と言う手もありますが、長引けば単位が足りずに留年や退学のおそれも出てきますので注意が必要です。


そういった高校不登校生徒や中途退学者を受け入れているのが、定時制通信制の高校です。

授業料なども公立私立や、それぞれの高校によって違いがありますが私立の全日制に比べればかなり安価の高校が多いので、関心のある方は調べてみてください。

ただここでも気になるのが、定時制通信制の中退率の高さです。


全日制高校は、約93%が卒業。

定時制高校だと50%前後が卒業。

通信・単位制ですと、20〜40%が卒業。


このように、不登校経験者を多く受け入れている定時制通信制高校では、その半数以上が卒業できずに中退という結果になってしまっているのが現実です。

ちなみに文科省が平成13年に発表した中学不登校の生徒について調査結果ですと、中学卒業と同時に進学した人は65%。(専門学校・各種学校含)

その進学した高校・専門学校・各種学校を卒業した人は58%。

中退は38%。

中退後に他校に入った人を含めると、進学者の65%が卒業しているという結果になっています。


ぼくは必ずしも高校に【行かなければならない】とは思っていません。

高校や大学などは本来学びたいと思った人が、自らの意思で学びにいくところであると思います。

現実としては、高校を卒業をしている人と、中学卒業の人とでは、就業などのとき、高学歴であったほうが、より多くの選択肢があるもの事実ですが、それはその人の人生。

どのような学歴や経歴、出自であっても、その人の人生は、自分で歩んでいくしかないものと思っています。




FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ)